ボンズカジノ– category

<ウェブサイト名>

<現在の時刻>

出典: 標準

#017 ホーム 文学部の窓 文学部卒業生インタビュー 大島 義史さん 大島義史さん 2008年 東京大学文学部考古学専修課程 卒業 会社に勤めながら、有給休暇と小遣いの範囲で、20年以上、未踏の辺境・秘境を中心に、自転車旅行を続けている。 自分を取り戻しにいくのだろうか、それとも、新しい自分に会いにいくためなのだろうか 僕、広島県出身なのですが、高校生のころってゲームばっかりやっていたんです。当時は、据え置き型のゲームのRole-Playing Game (RPG)全盛期の時代です。『ドラクエ』や『ファイナルファンタジー』に出てくる遺跡に憧れ、「冒険が僕を求めている。“遺跡”に行ってみよう」と。電車や車でめぐる旅を“点の旅”とすれば、自転車と徒歩の旅は“線の旅”、まるでRPGが現実になったみたいじゃないですか。じゃあ、とりあえず手元にあった自転車で、行けるところまで行ってみよう、そうしてはじまったのが、僕の旅です。 それから23年間、大学2年生の日本縦断から始まって、オーストラリアのアボリジニの聖地、新疆ウイグル自治区のシルクロード最古の道、死の海と言われるタクラマカン砂漠、そしてサラリーマンになってからは有給休暇を使い、南極点をはじめ、世界各地の未踏の地、秘境と言われる場所を中心に、自転車による冒険の旅を続けています。 東大に入ろうと思ったきっかけ 僕が東大に入ろうと思ったきっかけですか……。それは、ちょっと言いにくい理由なんですけれどね、実は高校の部活の友人に「おまえだけは絶対に東大に入れない」って言われたからなんです。当時の高校3年生って150万人くらいいたので、全国模試を受けると僕より上に100万人くらいいるんですよ。「オッ、これって、もし僕が東大に入れたら“100万人抜き”じゃないか?」って考えたらおもしろくなってきて、じゃあ、東大を受けてみようと。 一浪しましたが、あのとき友人が僕に「絶対無理だ」と言わなければ、僕は東大にいなかったかもしれないです。遺跡や歴史が好きだったので、もちろん文学部を選びました。 駒場--悩み多き時代 そして意味不明な授業のおもしろさ だけど、僕、大学に入ってすぐ“五月病”っていうのかな、あの屈折した状況は何て言ったらいいんだろう……とにかく悶々とした冴えない日々を過ごしました。彼女ができた人たちやクラブに入って仲間ができた人たちはいいんですよ、彼らは五月病にはならない。でも、僕はひとりぼっちで、大学でもなんだか孤立している。これって、このまま何もしないで時間だけが過ぎていってしまうのではないか、そんな焦りにも似た気持ちに襲われました。 そのとき、僕を救ってくれたのが自転車旅行でした。ひとりぼっちではじめた小さな遊びでしたが、旅をする中で、同じ趣味を持った人たちと出会うようになって、だんだんと仲間ができはじめ、人の輪がどんどん広がっていった。今では親友と呼べる人が何人もできました。もし、今、孤立していると感じる人がいたら、最初は一人でできること、自分が興味のあることから、始めてみるといいんじゃないかな。僕は、次はどこに行こうかと考えていたら、いつのまにか五月病は吹き飛んでいました。 駒場の授業は、自分で自由に組み立てることができるので、すごくおもしろかったですよ。自分が興味のある授業を片っ端から受けました。心理学で「どうやったら好きな女の子に振り向いてもらえるか」とか、これ、僕、めっちゃ成績良かったです。あとは座禅を組むとか、まず踊ってみるとか、音楽をひたすら聴くとか、シェークスピアが生きた当時の言葉の意味を考えながら本を読んでみるとか。 大学2年生_日本縦断_ゴールの宗谷岬にて そうそう、地球温暖化については「温暖化という話はガセ」という授業と「温暖化はマジ」という授業があって、先生の専門的視点によって今起こっている現象に対する認識が180度変わるんだなって思いました。僕はここ40年くらいずっと反抗期なので、「ガセ」と言われると「ほんとか?」と思っちゃう。でも「マジ」と言われると「それもほんとか?」と思っちゃう。自分の中でちゃんと調べてみようと思って、英語の文献とかいっぱい読みあさって……、結果、「当時の科学では結論づけられない」という結論が出てしまって、結局「解なし」です。でも、そのあと15年くらい経って、ある程度の蓋然性を持って、少なくとも現代の気温には何らかの人間の活動が作用しているというのがわかってきました。これは、エネルギーの循環型社会をつくるという、今の仕事に繋がっています。 研究室が地下にある、これぞ考古学研究室! 駒場の授業を通して、世界には解決しなければいけない問題がこんなにあるのに、僕は好きなことをひたすらやっていていいのか、という思いも正直あったのですが、やはり当初の希望どおり考古学研究室に進学しました。考古学研究室は、研究室が地下にあるんです。あれはすごく良かった。考古学を研究するところが「埋まって」いなかったら僕はちょっと許せないなと思っていたんですが、ちゃんと埋まっている! 素晴らしいなと思ってですね。もちろん、地上にも研究室はあるんですけど、学部生とか院生、ポスドクの皆さんは地下にいるんです。地下に入ったら上がってこない。ときどき銀杏メトロ食堂でご飯を食べるために上がってきて、また地下に潜っていきます。これは考古学という学問を、研究室そのもので体現している、と思って感動しましたね。 情報学環・福武ホールの発掘_自分で初めて掘ったピット 僕は遺跡が好きで見て回っているという学生だったんですけど、先生にお願いしたら、「今度、ここで遺跡の発掘をするよ。とりあえず体力がありそうだから来てくれ」と呼ばれて発掘させてもらいました。情報学環・福武ホールをつくるための事前発掘をやったのは僕らです。あそこは、たしか旗本か何かの屋敷があったので江戸時代の遺物が多いんですけど、もっと掘り進めていくと磨製石器っぽいのが出てきたり……。もう毎日何か発見があって、毎日がおもしろくて、最高でした。僕にとって生まれて初めてピットを掘らせてもらった場所なんですけど、掘っていくと途中で火災があったところとの地層の割れ目みたいなものが見えたり……。発掘したあと、隅田川の花火大会を男たちだけで見に行ったんですけど、もう泥だらけのしょっぱい感じが、実に良かった。今、考えてもあれは本当に楽しかったです。 「迷って迷って、決めたら、突っ走るしかない。でも、失敗したことも多くあって……」 僕、もうすぐ40歳なんですが、まだ自分が何をしたいのか、模索中なんです。 まず就職したメーカーで配属されたのは経理部門。もちろん経理や経営の知識はまったくと言っていいほどありませんでした。でも、当時の上司に「経理の仕事とは、会社の経営を通して、社会に新しい価値を生み出す行為だ」と言われ、はじめて、経理という仕事に真面目に向き合ってみようと思いました。 もちろん、自転車旅行はサラリーマンになっても続けています。学生のころ「そんなことできるのは学生のうちだけだよ」といろいろな人に言われたのですが、それが何だか悔しくて、腹が立って。だから、なけなしの有給休暇に予定をめいっぱい詰め込んで、未踏と言われる場所を自転車で旅しています。 僕にとっては仕事も自転車の冒険もどちらも大事です。もし片方だけだったら、どこかで、つまずいていたんじゃないかな。 35歳で転職して、今は世の中で必要とされる電力やガス等のエネルギーを科学技術によって持続可能な形で循環させることに取り組む仕事と、脱炭素に関わるビジネスプランをつくる仕事、大人になっても遊べる社会をつくるという仕事の、3つの会社の仕事を掛け持ちしています。 転職したときも、旅に出るときも、僕は、いつもメチャメチャ迷います。 子どもたちが4人もいて、この子たちを養っていかなくてはならないのに、やりたい仕事があって、悩んだ末に転職したのは4年くらい前です。そのときは、それこそエクセル表にどういうパターンがあり得るか考えられることはすべて書いて、そしてやっぱりこの道が一番いいんじゃないかと決めて。そうしたら、そのあとは信じて進むしかないな、と。 自転車の旅でもそうなんですけど、砂漠とか南極には、そもそも道がないんですね。なので、このまま進んでいいのかどうかということは、ぎりぎりまでわからないです。ただ、ここを進むと決めた以上、ある程度、進んでみないと、進んだのは間違っていた、ということには気づけない。一番まずいのは、ちょっと行ってちょっと戻るというのを繰り返すことです。その間に吹雪いてきちゃったり、水がなくなったりして、人はあっけなく死ぬんです。なので、決断までは迷いますけど、一度決めたら、僕は迷わず突っ走る。ただ、突っ走って失敗したことも多くあって、すべて成功したわけではないんですけれどね。 僕は、基本的に一人で旅にでるのですが、正直、“孤独”は怖いです。かといって、人と密に接することができるほど協調性があるわけじゃないという、面倒くさいヤツなんです。旅に出る1週間くらい前から、夜も眠れなくなるし、何もかも不安になります。お恥ずかしい話なんですけど、関西空港まで行って、淋しくなって引き返したことがあります。でも、ブログでは「行くぜ!」みたいなことを書いちゃっているものだから、これ、ここで引き返したらカッコ悪いな……、さて、どうしたものかと。航空会社の人も「まだ間に合いますよ」みたいなことを言っている。結局、出発後3時間で家に帰ったら「行っていらっしゃい。頑張ってきてね」と子どもたちと一緒に手を振ってくれていた奥さんが、「えっ……もう帰ってきたの?」っていう感じで、申し訳なさそうな顔で言葉に詰まっている。あれほど、自分の居場所がなかった瞬間はありませんでした。 でも、そのあと、もし行かなかったら一生後悔する気がして、その場所には結局2年後に行ってきました。 エンプティ・クォーター、最深部の砂丘群を超える 恐るべき空白(オーストラリア内陸部の砂漠)にて 今年は、アラビア半島にある世界最大級のルブアリハリ砂漠、この“空虚の地”と訳されるEmpty Quarterに行こうと思っています。 情報が存在しない中、6年かけて準備をしてきたので、この未知の世界に行くということ自体、僕自身、まだ信じられないです。こういう「人が足を踏み入れたことがない大砂漠がある」とか、南極みたいなよくわからない大陸があって「5分、無防備で外にいると凍って死ぬらしい」というのを聞くと、やっぱり怖いですね。 でも、「そんな怖い場所に僕は行けないはずだ」という固定概念を持っている、そんな自分を壊したい。今回、Empty Quarterに行くのは、風景が美しいから行くとか、そういった動機ではありません。「この場所に人類が立つことは不可能だ」というところに今自分が立っている、という現実をみて、そこで“自分”に驚きたいのだと思うんです。ただ、驚いて、砂丘の上から後ろを振り返って、「6年前はできないと思っていたのに今できているのはなぜ?」と。その湧き上がるような興奮、受け入れ難い驚異。それらに直面したくて、毎回、実現不可能な場所を選んでいる気がします。 仕事もそうなんですけど、一番できないことを一番できない方法でやりたいという、そんな困ったヤツなんですよ。 これからは“答え”がない世界 今、3つの会社の仕事をしています。そのうちの一つの会社は東大生がすごく多いのですが、彼らを見ていると仕事の提案をするにせよ何にせよ「答えがある」こと前提で動いている気がします。彼らは、過去にどういうデータがあって、共通点があって、デシジョンメイキングがあって、その結果はこうだった、ということを、じっくり調べて答えを出そうとするんですね。でもそれって例えばAIに学習させたら……同じ答えが瞬時に出てくる気がするんです。 もう一つの会社は、そのAIを開発しているベンチャー企業なんです。そこで「これはAIにはできません。やれません」と開発陣にきっぱり言われたことがあります。それは入力データ無し、事前学習無しで、何かを生み出すこと。つまり「ゼロから1をつくること」でした。 これからの人間に求められるのは、全然関係ないところからゴチャゴチャ集めてきて「これとこれ」という今までにない組み合わせをつくったり、よくわからないけど世の中に存在しない「何か」ができたぞ! みたいにゼロから1を生み出すことなんじゃないかな。 だから、東大に入ってきた後輩にやってほしいことは、まさに文学部なんかそうだと思うんですけど、好きなことだけをガーッとやっている人たちと触れ合うこと、自分と全然違うことをやっている人たち、自分が興味のないことをやっている人たちと触れ合って、自分の発想のネタを増やすことかな、と思います。関係ないことをいっぱいやって、ゴチャゴチャのネタを増やすだけ増やしてほしいです。 東大の文学部には、そういった摩訶不思議で個性的な人がたくさんいて、表現できないほどに、多くの彩があります。 インタビュー日/ 2023.11.7 インタビュアー/ 柳原 孝敦、三枝 暁子、浅野 倫子 文責/ 松井 千津子 写真提供/ 大島 義史 大島 義史 (おおしま よしふみ) さん 1984年生まれ。広島学院高等学校を経て、2008年東京大学文学部考古学専修課程を卒業。 会社に勤めながら、有給休暇と小遣いの範囲で、20年以上、未踏の辺境・秘境を中心に、自転車旅行を続けている。世界縦断、南極大陸、デスバレー、恐るべき空白(オーストラリア内陸部)等に続き、2023年12月からは、世界最大の空白地帯のひとつ「エンプティ・クォーター」の自転車縦断に挑む。 仕事では、環境問題に関心を持ち、水素エネルギーサプライチェーンの構築に長年係わる。現在は、経営コンサルタント・会計士として、民間企業のCFOや、脱炭素関連事業のコンサルティングも担う。 #001 森下 佳子さん 野放し状態で「ものの見方を学ぶ」 #002 前田 恭二さん 人間のありようとして美を求める #003 佐治 ゆかりさん 自分がやりたいことをちゃんとやろう #004 内田 樹さん 乱世にこそ文学部へ! #005 羽喰 涼子さん 私は編集者の道を行く #006 大澤 真幸さん そして同じ問いに立ち返る #007 佐藤 祐輔さん ビジネスにとっていちばん大事なのは 「正義」だと思うんです #008 畑中 計政さん 先生ってカッコいい #009 越前 敏弥さん "翻訳"という仕事にめぐり合う #010 濱口 竜介さん やってみる。6割できたらいいと思う #011 石井 遊佳さん 根源的なものほど一見無用物 #012 岡村 信悟さん 文学部で学んだ比較不可能な価値の共存 #013 想田 和弘さん 観察映画という生き方 #014 徳田 雄人さん 「失敗しない」なんてもったいない #015 金 そよんさん 答えがないなんて素晴らしい #016 和田 ありすさん 人文学、社会科学の研究を応援するために進んだ道 #017 大島 義史 自転車で未知の世界を走る Copyright © 2015 University of Tokyo Faculty of Letters. All rights reserved.

ボンズカジノ– category ブックメーカー賭け方 ボンズカジノ– category
Copyright ©ボンズカジノ– category The Paper All rights reserved.